津軽一代様めぐり
年のはじめ、その新しい1年が健やかにすごせるように初詣に行かれる方も多いのではないでしょうか?初詣は、氏神さまや願いにあわせて神社仏閣にお参りされる方も多いかとは思いますが、ここ津軽には、自分の生まれた年の干支を守り神とする津軽地方独特の風習「津軽一代様」が、藩政時代から広く伝わっており、初詣だけでなく、受験、就職、出産などの人生の節目に、自分の生まれた年の干支を守り神とする神社「一代様」をお参りします。
津軽にお越しの際は、ご自身やご家族の干支の神社へ足を運んでみませんか?
子年
多賀神社

子年生まれの一代様は、青森県弘前市の
東目屋
地域にある、多賀神社です。多賀神社は、天平三年(731年)に民衆の間に仏教を広めた僧、
行基
が建てた説と、大同二年(807年)に坂上田村麻呂が建てたという2つの説があります。
多賀神社に向かうには、
風情
のある石畳の階段を登り、その後見える急な石の階段を上るか、この急な階段を
迂回
する参道から向かうコースがありますので、行きと帰りで違う景色を楽しむこともできます。
階段を上った先には、京都の「
清水寺
」を模して建設されたといわれる多賀神社本殿があります。多賀神社はこの清水寺に模して建設された本殿や、本殿から湧水がほとばしることから、別名「
清水観音
」と言われています。
寺院名 | 多賀神社(たがじんじゃ) |
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干支 | 子(ねずみ) |
通称 | 目屋(めや)の清水(しみず/きよみず)観音(かんのん) |
御本尊 | 千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ) |
御祭神 | 伊弉諾尊(いざなぎのみこと) |
ご利益 | 夫婦円満、子宝、安産、縁結び、病気平癒(へいゆ)、健康祈願、五穀豊穣(ごこくほうじょう)、厄除け(やくよけ) |
住所 | 〒036-1441 青森県弘前市桜庭字外山948 |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-86-2952 |
URL | https://twitter.com/kiyomizu_taga |
御祭日 | 8月17日 |
丑年・寅年
求聞寺

丑年と寅年生まれの一代様は、青森県弘前市の百沢地区にある、求聞寺です。求聞寺は岩木山神社の近くにあり、石段を登り、森を抜けると
境内
があります。境内では左側に丑、右側には寅の像が出迎えてくれます。
寛永6年(1629年)、津軽2代藩主である
信牧
が、争いや大地震、飢餓が続いたことから
家中
の平安や領内の安泰を願い、「
求聞持法
」という真言宗の激しく苦しい修行を経て、求聞持堂を建てたのが始まりとされています。
境内には、青森県内最大級の
釣鐘
があり、参拝客も鐘を鳴らすことができます。
寺院名 | 求聞寺(ぐもんじ) |
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干支 | 丑(うし)・虎(とら) |
通称 | 百沢の虚空蔵様(こくうぞうさま) |
御本尊 | 虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ) |
御祭神 | – |
ご利益 | 開運、縁結び |
住所 | 〒036-1343 青森県弘前市百沢字寺沢29 |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-83-2373 |
URL | – |
御祭日 |
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卯年
ここ津軽には、卯(うさぎ)年生まれの一代様が4か所あります。最勝院

一つ目の卯年生まれの一代様は、青森県弘前市の
銅屋町
にある、最勝院です。津軽地域で最も格式の高いお寺で、地元の人々にとって、初詣の定番の場所です。
最勝院の
文殊菩薩
は、日本仏教の聖地・高野山から移されたものので、津軽の殿様が、代々知恵の守り仏として信仰されてきました。
シンボルである
五重塔
は、国の重要文化財に指定されており、東北で最も美しい塔といわれています。
寺院名 | 最勝院(さいしょういん) |
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干支 | 卯(うさぎ) |
通称 | 最勝院の文殊様(さいしょういんのもんじゅさま) |
御本尊 | 文殊菩薩(もんじゅぼさつ) |
御祭神 | – |
ご利益 | 学業成就、合格祈願、就職成就、良縁成就、五穀豊穣、国家安泰 |
住所 | 〒036-8196 青森県弘前市銅屋町63 |
アクセス |
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お問い合わせ |
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URL | http://www15.plala.or.jp/SAISYOU/index.html |
御祭日 | 旧歴6月13日 |
天満宮

二つ目の卯年生まれの一代様は、青森県弘前市の西茂森にある、天満宮です。
常源寺坂
の上の奥まった場所にあり、境内からは岩木山を眺めることができます。
もとは
大行院
というお寺で、津軽藩主・
為信
が、越後(新潟県)から津軽の“山伏”という宗教的指導者たちを支配する立場にあった大行院栄尊という人物を招き、人々が神仏に願い事を行うお寺として開いたのが始まりです。明治時代、政府の神道と仏教を区別する命令により、大行院は廃止となり、急きょ
愛宕山橋雲寺
(岩木町)から神様を移して天満宮としたそうです。御祭神、御本尊ともに知恵の神、仏様で、受験生たちの合格祈願の場所として親しまれてきました。
境内にある
枝垂れ桜
は、推定樹齢500年以上で、県の天然記念物に指定されています。
寺院名 | 天満宮(てんまんぐう) |
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干支 | 卯(うさぎ) |
通称 | 茂森の天満宮(しげもりのてんまんぐう) |
御本尊 | 文殊菩薩(もんじゅぼさつ) |
御祭神 | 天神様(てんじんさま) |
ご利益 | 学業成就 |
住所 | 〒036-8273 青森県弘前市西茂森1-1-34(社務所) |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-32-5796 |
URL | – |
御祭日 | 6月25日 例祭 |
兼平天満宮

三つ目の卯年生まれの一代様は、青森県弘前市にある
兼平天満宮
です。兼平地区に深く根付き、親しまれてきました。
兼平天満宮は、弘安年中(1278年~1287年)に武士の
兼平左近
が弘前市
富栄
から現在地に移したとされ、代々多くの修験者が訪れました。慶長8年(1603年)、津軽藩主・為信が再興して社殿を修理し、悪病退散を願ったといいます。正保2年(1645年)には、3代藩主・信義が、神に歌や舞を捧げる場所である神楽殿を建てました。
境内には、安永2年(1773年)に造られた狛犬がいるほか、鎌倉時代後期に建てられた、死者の供養のための石碑が4基あり、仏や菩薩を表わす文字が刻まれています。
寺院名 | 兼平天満宮(かねひらてんまんぐう) |
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干支 | 卯(うさぎ) |
通称 | 兼平の天神様(かねひらのてんじんさま) |
御本尊 | 文珠菩薩(もんじゅぼさつ) |
御祭神 | 菅原道真(すがわらのみちざね) |
ご利益 | 学業成就、合格祈願、悪病退散 |
住所 | 〒036-1332 青森県弘前市兼平山下林添106 |
アクセス |
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お問い合わせ | – |
URL | – |
御祭日 | 4月25日(2022年度) 例祭 |
金剛寺

四つ目の卯年生まれの一代様は、青森県平川市にある金剛寺です。岩木山の
麓
である
赤倉
の地には修行道場を中心に一代堂、五大堂、大師堂などが建立されています。赤倉には古くから鬼が住んでいると言われ、津軽の人々はその鬼を神様として信仰してきました。
初代住職・
蒔田照正
が開いたお寺で、夢の中で、龍に乗った白髪の老人に、「赤倉の地にお墓を建てよ」と告げられたといわれています。
毎年6月の第三日曜日には、
火性三昧
という式を行い、式の最後には参拝者自身が火を渡って、
五穀豊作
や
無病息災
を願います。
寺院名 | 金剛寺(こんごうじ) |
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干支 | 卯(うさぎ) |
通称 | – |
御本尊 | 文珠菩薩(もんじゅぼさつ) |
御祭神 | – |
ご利益 | 五穀豊穣、福徳円満、福運大運、海上安全、家内安全 |
住所 | 〒036-0241 青森県平川市八幡崎宮本141 |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-57-2548 |
URL | https://kongoji.net/ |
御祭日 | 毎年6月 第3日曜日 火性三昧(かしょうざんまい) |
辰年・巳年
愛宕山 橋雲寺

辰年・巳年生まれの一代様は、青森県弘前市の
愛宕
地区にある、
橋雲寺
です。地元の人々よって津軽十景の一つに選ばれたこともある愛宕山にあり、急な階段を上ると、津軽平野が一望できます。
津軽藩主である
為信
が信仰したといわれる御本尊の
勝軍地蔵
は、
為信
が関ヶ原の合戦で岐阜県の
大垣城
を攻めた際、現地の愛宕様に祈願をしたところ勝利をおさめたので、お寺の僧侶に願い出て、もらい受けてきたものです。この勝軍地蔵は、普賢菩薩の生まれ変わりであり、よい行いについてのご利益や、火事を防ぐ効果があるとされています。
寺院名 | 愛宕山 橋雲寺(あたごやま きょううんじ) |
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干支 | 辰・巳(たつ・み) |
通称 | 愛宕様(あたごさま) |
御本尊 | 勝軍地蔵尊(しょうぐんじぞうそん) |
御祭神 | – |
ご利益 | 徳(とく)、火難除け(かなんよけ) |
住所 | 〒036-1302 青森県弘前市大字愛宕字山下63 |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-82-3429 |
URL | – |
御祭日 | 旧暦6月23日~24日 夏季例大祭 |
午年
白山姫 神社

午年生まれの一代様は、青森県黒石市の
袋
にある
白山姫
神社です。境内までの上り坂は長く傾斜が急なため、入り口には補助のための木の杖が用意されています。
元々はお寺で、坂上田村麻呂が東方を攻めた際、袋に入れた
勢至菩薩
の肖像を、大木の枝にかけて戦場での幸運を祈願したところ見事に成就したため、感謝の意を示して
御堂
を建立したといわれています。浅瀬石城が落城した際に衰退したものの、住民によって再興され、その後には、神道と仏教を区別するため、白山姫神社と改称されました。
鳥居をくぐると、左側に推定樹齢4〜500年の大きなイチョウの木があり黒石市の天然記念物に指定されています。
寺院名 | 白山姫神社(しらやまひめじんじゃ) |
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干支 | 午(うま) |
通称 | 袋(ふくろ)の観音堂(かんのんどう) |
御本尊 | 勢至菩薩(せいしぼさつ) |
御祭神 | 伊邪那美命(いざなみのみこと)、菊理姫命(くくりひめのみこと) |
ご利益 | 滅罪(めつざい)、不老長寿(ふろうちょうじゅ) |
住所 | 〒036-0412 青森県黒石市袋字富岡112 |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-52-5516(羽黒神社) |
URL | – |
御祭日 | 旧歴6日23日 |
未年・申年
大円寺

未年・申年生まれの一代様は、青森県大鰐町にある、
大円寺
です。津軽の人々から「大鰐の大日様」と親しまれています。
御本尊として安置されている「大日様」は、高さ4.85mで、国の重要文化財に指定されており、津軽地方最古の仏像と言われています。一方で、仏像自体は、実は大日如来ではなく
阿弥陀如来坐像
です。仏像には、通常ヒノキが用いられますが「大日様」にはヒバ材が使用されています。
「大鰐町」の地名について、この大きな阿弥陀如来坐像「おおあみだ」から「おおわに」へ変化したという説もあります。
寺院名 | 大円寺(だいえんじ) |
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干支 | 未・申(ひつじ・さる) |
通称 | 大鰐(おおわに)の大日様(たいにちさま) |
御本尊 | 大日如来(たいにちにょらい) |
御祭神 | – |
ご利益 | 病気平癒(へいゆ)、現世安穏(げんせあんのん)、所願成就(しょがんじょうじゅ) |
住所 | 〒038-0212 青森県大鰐町蔵館村岡12 |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-48-2017 |
URL | – |
御祭日 |
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酉年
国上寺

酉年生まれの一代様は、青森県平川市の
碇ヶ関
にある
国上寺
です。
推古天皇の時代に、聖徳太子の命令で大鰐町と平川市にある
阿闍羅山
に立てられたのが始まりとされ、のちに津軽家
古懸山
不動院国上寺と改め、津軽家代々、願い事をする場所とされました。
同寺の
不動明王
は、座っている姿から「ねまり不動」と呼ばれ、
六郷長谷沢
(黒石市)、中野神社(黒石市)とともに、
津軽三不動
に数えられており、三体とも一本の木から作られたという言い伝えがあります。また、不吉なことが起こる際には汗をかくという言い伝えから「汗かき不動」とも呼ばれており、かつては、御不動様が汗をかくと、藩から
護摩
をたいてお祈りするよう命じられたといいます。
寺院名 | 国上寺(こくじょうじ) |
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干支 | 酉(とり) |
通称 | 古懸(こがけ)の御不動様(おふどうさま) |
御本尊 | 不動明王(ふどうみょうおう) |
御祭神 | – |
ご利益 | 災難除け(さいなんよけ) |
住所 | 〒038-0102 青森県平川市碇ヶ関古懸門前1-1 |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-45-2446 |
URL | – |
御祭日 |
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戌年・亥年
弘前 八幡宮

戌・亥年生まれの一代様は、青森県弘前市の
八幡町
にある、弘前八幡宮です。「弘前の八幡様」として、津軽地域で広く親しまれており、初詣にも多くの人々が訪れます。
かつて大浦城の守りとして八幡(旧岩木町)のあったのを、慶長17年(1612年)に、津軽2代藩主・信枚が弘前城の鬼門の押さえとして現在地に移しました。
本殿
、
唐門
は桃山時代の様式を伝える代表的な神社建築で、国宝に指定されています。
寺院名 | 弘前八幡宮(ひろさきはちまんぐう) |
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干支 | 戌・亥(いぬ・いのしし) |
通称 | 弘前の八幡様(はちまんさま) |
御本尊 | 八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ) |
御祭神 | 誉田別命(ほむたわけのみこと)、八幡大神(はちまんおおかみ)、息長足姫命(おきながたらしひめのみこと)、比売大神(ひめおおかみ) |
ご利益 | 家内安全・身体健康、安産祈願、合格祈願・必勝祈願、商売繁昌(しょうばいはんじょう)・社運隆昌(しゃうんりゅうしょう)、病気平癒 |
住所 | 〒036-8057 青森県弘前市大字八幡町1丁目1-1 |
アクセス |
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お問い合わせ | TEL 0172-32-8719 |
URL | https://hirosaki-hachimangu.com/ https://www.instagram.com/hirosakihachimangu/ |
御祭日 | 8月1日 例大祭 |
その他
また、津軽一代様すべて安置されているお寺もあります。何か所もお参りしたくてもお時間のない場合などは、こちらをお参りするのはいかがでしょうか?神宮寺

神宮寺は、青森県平川市の
猿賀
神社にある、津軽一代様すべて安置されているお寺です。干支が違っても、津軽一代様巡りが一度にできるため、家族やグループで参詣するのにぴったりな場所です。地元の人々は、まずは家族で神宮寺にお参りしてから、それぞれの干支を訪ねることが多いそうです。
かつて、猿賀神社の境内にあった12棟のお寺を管理していたのが神宮寺であり、津軽藩主である
為信
により人々が神仏に願い事を行うお寺として再興したものの、南部家との対立の影響により8棟が壊され、僧侶も追放されました。その後、津軽家の安泰を願い、2代藩主・信枚によって再建されましたが、明治政府の神道と仏教を区別する命令により、残されていた4つのお寺のうち2つのお寺が残り、その片方が神宮寺の名前を引き継いで、現在に至ります。
津軽一代様の前には、鬼神様として、悪病退散を願い正座した鬼が祀られています。本堂にある祭壇には、驚くことにお寺にもかかわらず赤い鳥居が立っています。
寺院名 | 神宮寺(じんぐうじ) |
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干支 | 全て |
通称 | – |
御本尊 | 全て |
御祭神 | – |
ご利益 | 全て |
住所 | 〒036-0242 青森県平川市猿賀石林166-2 |
アクセス |
|
お問い合わせ | TEL 0172-57-3182 |
URL | – |
御祭日 | – |